コラム
Column

社会人としての学びは終わらない。目的・興味を持って学べるものを選ぶことが学び続ける力になる

<株式会社Schoo コミュニケーション戦略室 室長 大金 歩美 さん>

「リスキリング」「スキルアップ」など、社会人の学び直しについてメディアでもよく取り上げられるようになった昨今。なぜ今、これだけ社会人の学びが必要とされているのでしょうか。また、何をどう始めればよいのでしょう。社会人向けオンライン学習コミュニティ「Schoo(スクー)」を提供する株式会社Schoo コミュニケーション戦略室 室長の大金歩美さんに伺いました。

 

変化の時代に対応するため、社会人にも学びが必要

これまでの社会人の学びは、成長意欲が強い人、出世したい人など、一部の方がスキルアップのために取り組むものでした。そのため、「自分はそこまでの意欲はないし、学びなんて関係のないものだ」と思っていた方も多いのではないでしょうか。

では、なぜ今これだけ社会人の学びがクローズアップされているのでしょう。その背景には、2020年のコロナ禍以降を象徴する「変化の時代」があります。リモートワークを余儀なくされ、デジタル化が急激に進んだここ数年。以前までは一般的ではなかったオンラインツールを使った会議も日常的なものになりました。

終身雇用制度の見直しなど、少しずつ社会の変化はありましたが、2020年以後よりそのスピードは急加速しています。AIの台頭などテクノロジーの発達により、これまでにやってきた仕事がなくなる可能性も取りざたされています。周囲が変化し続ける状況下で生きていくには、自分自身も学んで変化に対応していかなければならない。だからこそ、社会人にとっても学びが必要なのです。

ただ、「都市部はともかく、地域はそこまで変わらないのでは?」と思っている方もいるかもしれません。確かに、この1、2年で激変するということはないでしょう。しかし、ここ数年で地域でも電子マネーが普及し始めデジタル化が加速しているように、地域だから変わらないということはありません。都市部で起きている変化の波が徐々に地域にもやってくることは、容易に想像できます。

また、移住誘致をしている自治体の場合は、都市部から人が入ってくることで、移住者と同じようなデジタルリテラシーを持つ必要性が増すこともあり得るでしょう。「地域の中小企業だから、これまで通り何も変わらずにやっていける」とは言い切れないのです。遅かれ早かれやってくる変化に対応するため、今から自ら学んで備えておくことは、決して早すぎることはないと思います。

目的・興味のある分野から選ぶことが挫折を防ぐポイント

社会人の学びといっても、学ぶ内容は多岐にわたります。そのなかで、私たちは一体何を学べば良いのでしょうか。この「何からまず学べばいい?」という質問は、Schooのサービスユーザーから寄せられる質問のなかでも1番多いものになっています。

この質問への私の回答は、「ご自身の興味があるもの」、そして「現在やっている仕事に掛け算できるもの」の2軸で考えることです。

例えば、ユーザーさんの中には育児で仕事を休職している期間にデザインの勉強を始められた方がいました。この方の仕事は観光系の仕事で、デザインスキルを身に付けることで地域の魅力を発信する仕事に繋げたいという思いがありました。個人店を営んでいる方がマーケティングを学ぶのも、今後の仕事に活かせる一例です。

このように、今やっている仕事や興味がある事に掛け算した学びをすることで、新しい学びをすぐに仕事に活かすことができます。実践できることが学ぶモチベーションの向上にも繋がるでしょう。

逆に気をつけたいのは、目的が明確になっていない状態で、「何となくこのスキルさえ学んでおけば役に立つだろう」と始めてしまうこと。特に多く見られるのはプログラミングですね。「プログラミングを学んで、こうなりたい、これをしたい」があれば続けられるかと思いますが、単に「今はエンジニア不足だと聞くから、とりあえずプログラミングを」という意識で始めてしまうと、やはり難易度も高い学習ですし、挫折に繋がりやすいと感じます。

今の業務内容に紐づかない場合、続けられるかどうかは自分のなかにゴールがあるかどうかです。事務職の方が「いつか事務職がなくなってしまうかもしれない」という危機感からエンジニアを目指し、社内で職種転換を実現させたという事例もあります。目的を持って学べば、どのような学びも価値があるものにできるでしょう。

特に興味があるものが思いつかない、掛け算できるものもよくわからないという方におすすめなのは、デジタル系のリテラシー向上です。今後、デジタル人材が増えてくる社会において、エンジニアの方と仕事をする機会も増えるでしょうし、どのような職業の方であっても意味のあるスキルアップだと思います。

学び直しと聞くと、新しいことを始めるイメージを持たれる方が多いのですが、意外と人気を集めているのは、既存スキルの見直し、スキル向上だったりするのです。これらは明日の仕事からすぐに使えるスキルを身に付けられるため、学びの価値を実感できるのも大きいでしょう。日常業務が効率化され、時間が空くことで別の仕事ができるようになるため、昇進や昇給といった評価に繋がりやすい学びだともいえます。

また、年齢を問わず人気があるのはコミュニケーション術の講座です。背景には、コロナ禍以後のオンラインコミュニケーションスキルの必要性の増加と、働く人の価値観の多様化が挙げられます。単なる世代間の価値観の違いだからと諦めず、コミュニケーションをスキルとして身に付けたいという想いが感じられますね。

現代は「終わらない学び」が必要とされる社会

オフラインのセミナーや本を読んでの独学、通信教育や通信制大学のようなオンラインサービスなど、学ぶ方法や場にはさまざまなものがあります。どれが秀でていてどれが悪いといったことはなく、自身が学びたい内容を許せる金額内で始められるのであれば、どの方法でも良いでしょう。

ただ、いきなり高額な費用をかけて始めるのはハードルが高いので、まずは無理のないところから始めることをおすすめします。中には無料で視聴できるものもあるので、そうしたところから自分の興味関心が向くものを探すのも1つの手です。

社名でもある「Schoo」の名の由来は、「終わらない学び」です。設立された10年前は特に、学校卒業と共に学びが終了したり、資格取得を目的とした学びが一般的でした。そのなかで私たちは「終わらない学び」をテーマにし、社会人学習の重要性を発信してきました。そして今、時代は「終わらない学び」を必要とするものになっていると感じています。

変化し続ける社会において、「もう学ばなくても大丈夫」というタイミングはこないでしょう。プログラミングで現在主流となっている言語を学んでも、数年後には別の言語が主流になっているかもしれない。その変化に対応し続けるためにも、学び続ける姿勢が求められます。学び続けるためにも、目的を持てるものや興味があるものを選んでいただき、変化を楽しめる人が増える社会にしていきたいですね。

 

株式会社Schoo コミュニケーション戦略室 室長 
大金 歩美

大学卒業後デザイン会社を経て、国内外のホテルやブランド、公官庁などのPR活動を行う代理店にて勤務。メディアリレーションをはじめ、クライアント企業の商品をPR目線で企画・製品化などにも取り組む。その後事業会社での広報として従事し、ラクスルではアウター・インナーコミュニケーションを一気通貫して担当。現職のスクーでは広報部門の立ち上げから参画し、コーポレート及び事業PRに取り組み、社会人学習の普及に邁進している。個人でも複業として複数社のベンチャー企業のPR支援や、航空業界の記者・カメラマンとしても活動中。

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